侵略の世界史




侵略の世界史




日本にはびこる反戦平和主義のいかに甘い幻想であるかということを、一撃のもとに暴き出した書物、それが《侵略の世界史》でした。

世界のスタンダードでは、アイデンティティを確立することができるのは勝者だけであるという言葉を聞いたことがあます。そして、そのことは、現代でも変わりないでしょう。

情け容赦のない「文明国」西欧諸国が、他民族、他国家に対して、どのような仕打ちを行ってきたか、《侵略の世界史》は、その500年間のごく表面的な記録です。この書を読んで初めて、西郷隆盛が「欧米人は断じて文明国ではない」と言った意味が理解できました。彼の語るとおり、もし文明国であれば、未開の土地に入った時、諄々と教を説くように学問や文化を伝えていくものでしょう。






奴隷として、遊び半分に、ただ暴力によって殺戮されたおびただしい黒人たち黄色人種たちの数は、数億人にものぼります。完全に滅亡させられた民族も多くあります。今でこそヒトラーによるユダヤ人の殺戮を民族浄化であるとして非難する癖が欧米人にはついていますが、彼らはアメリカ大陸とアフリカ大陸で大々的にそれをくり返してきたのです。まさに殺し犯し盗み取ったはてに現代の西欧列強の力があるということを考えると、明治維新を行い、西欧列強に学び追いつこうとした被差別国家としての日本の勇気と努力と智性の深さには、まさに驚嘆に値すると思います。このような先人に対して深い感謝を捧げることしか私にはできません。

西欧列強と仲良く交易しようとした北米の原住民がどうなったのでしょうか、予言の成就として感謝をもって西欧列強を受け入れようとしたインカ帝国、アステカ帝国、カリブ海の諸島の原住民がどのように殺戮されたのでしょうか。その事実を聞いた明治維新の志士たちはどれほど深い絶望と恐怖と危機意識の中で維新を戦い、国家としての独立を貫いてきたか。真に彼らの戦いがなければ、今、世界的に差別撤廃の方向へ動きつつある世論も存在し得なかったでしょう。

まさにこれは、大東亜戦争を戦い抜いたわれわれの先祖のおかげで今があるのであるということ、肝に銘じようと私は思っています。






世界侵略の先駆者であるスペインとポルトガルはローマ教皇の権勢下にありました。占領地をめぐっての両国の紛争を調停するために、進出領域を決めたのは教皇でした。一つは、1494年、トルデシリャス条約で、アフリカ西岸のヴェルデ岬諸島の西方、西経四五度の子午線を基準とし、その西側をスペインに東側をポルトガルに決め、もう一つは1529年、サラゴサ条約で、アジアでの境界を135度に決めものです。これがいわゆる教皇子午線と呼ばれる地球ニ分割の策定でした。まさにカルト教団の傲慢ですね。

キリストの名の下に地球が二分され、キリストの名の下に「文明」がもたらされ、そして多数の民族が殺戮されたのです。





参考書  《侵略の世界史》  清水馨八郎著 祥伝社


2000年5月25日金曜日

忠君愛国 靖國へ