シンポジウム、第二部




その後、十分ほどの休憩の後、西尾幹二氏がふたたび登壇しました。

西尾幹二氏



教科書の紹介



西尾幹二氏は、これはもう嬉しそうに、出来上がった教科書を、スライドを示しながら読んでくれました。日本人による日本人のための教科書。神話の時代からの日本の国造りのあり方に関して優しくていねいに、愛情をこめて書かれているということが、よく理解出来ました。西尾幹二氏も言っていましたが、「これのどこが、皇国史観なんでしょうか。軍国主義の教科書なんでしょうか。」

このファイルを読まれている方は、なんのことかわかりませんよね。五月末には店頭に「つくる会」の教科書が並ぶということですから、一度手に取って眺めてみられるとよいと思います。「つくる会」がいかにひどい言いがかりをつけられているか、よく理解出来ると思います。日本という国を愛することが、そんなに罪なのでしょうか。


与えられた持ち時間(五分)をはるかにオーバーした(20分)西尾幹二氏による教科書紹介が、時間管理をする司会の高森さんが心配する中、やっと中断され、次いで加地氏が、言い忘れたことなどを追加されました。




加地氏の発言要旨



  1. 反戦歌人と名づけられている与謝野晶子は、十人以上の子供を生んでおり、下の子供は海軍大尉として従軍している。彼女はその活躍を応援した歌を書いている。そういうことから考えると、「きみしにたもうことなかれ」という歌は、お店の後継ぎなので、後継ぎを死なせたくないという思いを歌ったものであって、反戦とかそういうことではなかったのではないか。

  2. 「つくる会」の教科書に神話が書かれていることを批判する人がいるが、韓国の教科書にも神話は載っている。神話というものを持っている民族の深さ、神話の深い意味をよく理解すべきである。

  3. 中国に対して日本のインテリの腰が引けるのは、インテリ(政治家・官僚・学者)の保身や、中国の人口の多さによってもたらされる恐怖感もある。また、シナ人というと、諸葛孔明を思い浮かべる人が多く、今の中国人を見ても皆それが、諸葛孔明であると思うのではないか。したがって彼らには、なにかしら長期的な展望がありまた何か深い洞察をもっていると思ってしまうのではないか。

また、外圧の問題は、中国人や朝鮮人の実態をもっとよく知ることによって乗り越えられるのではないかと、述べられていました。


次いで田久保氏が、先の発言で述べられた、「国際的合唱団」の問題について補足されています。

シンポジスト



田久保氏の発言



「国際的合唱団」と申したんですけれども、仕掛け人はアメリカですね。先程西尾先生のご発言にも挙げられましたけれども、検閲制度で、日本人に罪悪感を染み込ませたんですね。東京裁判もそうであろうと思います。この結果何が起こったかというと日本人の間に、罪悪感で頭がいっぱいになっちゃった人が出てきたんです。自由な精神というのは知識人の本質であると私は思うんです。「絶対」なんて信じない、そういうものがあっても、なんだこれはアメリカなんてしょうがないなと思う。しかしそうではなくて、単細胞が、みんなこれを信じてしまった。そういう人たちが、実は日本にいるわけです。高森さんが言われた、また加地先生も言われたかな、坂本義和さんとかああいうグループがいる。社共系の旧社会党共産党系の方々がいらっしゃいます。こういう方々と、中国、ときには韓国・北朝鮮の方々との意見がぴたり一致するんですね。これはやはりアメリカに最大の責任がありそうだ。アメリカは何が怖かったかというと、戦前のシステム全部を壊したかったんですけれども、その中から日本が自主性を取り戻すことが嫌だった。自主性の中で最も嫌だったのが、(経済なんかは立ち上がってきたんですけれども)軍事だった。


1971年、私がワシントンの特派員だったときに、ニクソンの外交補佐官だったキッシンジャーが、日本人の記者団をまったく排除して、少数のアメリカの記者団に、オフレコで説明会を行った。そこでこういうことを言ったんです。「日本人ほど信頼出来ない連中はいないんだ。明治維新は、封建制度を天皇中心制度に百八十度方針を転換した。その後、第二次世界大戦でアメリカに負けて、天皇崇拝制度を百八十度転換して民主制度にした。これを見てみろ。いずれも、自らの哲学的確信なしに、外圧で転換している。よって、アメリカがこの国を見張っている―――タガをはめているのを外すならば、この国は二つの方向に進むであろう。一つは、平気で共産主義と同盟を結ぶであろう。もう一つは自主防衛で、いずれも矛先をアメリカに向けてくるにちがいない。したがってこれは、ガクッとタガをはめないといけない。近い将来日本が軍事大国になるのは確実であるから、これに目配りをしなければいけない。」と。これ、30年前に言ってるんですよ。近い将来っていつなんでしょうか。30年たっているのにまだなにも変わっていない。キッシンジャーは何かというとすぐ「近い将来、近い将来」という。最近も言ってるんですよ。(笑い)

これはどうもこの人も、日本の戦前を軍国主義であると埋めこまれているらしい。戦前というのは、日本の一時期で、戦争中でございますから、これは多少の行きすぎはあったかもしれない。これは戦争中という例外的な状況だと、私は思います。それを非常に恐れているんだと、私は思います。

沖縄の第三海兵師団にスタッフォードという司令官がいた。その人がUP通信とのインタヴューで、これは80年くらいですから20年位前かな、こういうことを言ったんです。これなんです(壇上に置かれたペットボトルの蓋を叩きながら)これなんです。「我々が日本に駐留しているのはビンの蓋だよ。我々が本国に去ってしまうと、壜の蓋を取っちゃうと、中から軍事大国という化け物が飛び出すよ。」と。これはあまりにもひどい言い方なので、みんなに叩かれたんです、新聞も一部叩いた。スタッフォードも発言を一部訂正しましたが、やはり本音はここにあるんじゃないかな、ということなんですね。ただし、この3・4年の間に、アメリカの方もかなり考え方を変えてきて、その結果ブッシュ政権が誕生したんです。


ブッシュ政権の誕生前に、政府では馬鹿なことを言うやつはいなくなってきたなぁと感じていたんですけれども、ジャーナリズムにはまだ残ってるんですね。

去年森さんが、神の国発言をしました。「日本は天皇を中心とする神の国である」と。なーーーんの不思議もないんです、あたりまえのことです。私も神社の境内に住んでいるんですけれども、土地を安く神社が貸してくだすったから住んでいるんですが、日夜「神さまーーー」と勝手なことをお願いしてるんですよ。これ、「よくなりますように」とか、「あれお願いしまっせ」とかね。それはもう気軽にお願いしている。八百万の神です。(笑い)

ところがですね、これをワシントン・ポストが、「狂信的・神秘的・好戦的、戦前を髣髴とさせる発言だ」と叩いた。そこで書いているのは、神の国を「Divine Country」ってこう書いてるんです。あの英語の専門家がいらっしゃったらあとでお教え願いたいんですが、これは王権神授説みたいな、とんでもない訳ですね。私はこれを産経新聞の正論で叩いて、「Country of Gods」「神々の国」「みんな神さま」と訳すべきだと書いたんです。この連中は根本的に勉強していないということを、私は叫び続けているわけでございます。


これが仕掛け人であると私は思います。これが頭に染み込んじゃってるから、あの土井さんですねぇ、社会党の、今なんというんでしょう、社民党というんですか。あの社民党の土井さんは、「護憲だ、護憲だ」という。アメリカが押しつけた憲法を「護憲だ、護憲だ」という。反米的な社民党の党首が、「護憲です」なんてやってる。(笑い)これが頭に染み込んじゃってるもんですから、戦前の軍事大国を潰そうと思ってる。変なことをやってるわけです。

アメリカはようやっと気が付いた。自分たちがやってきた合唱団のかなりの人々は、「これ下手すると反米じゃないか、日米安保条約に身体はって反対してきた連中じゃないのか、嫌だねぇ」ということでしょ。

教科書。これ、アメリカは何も言いませんよ、何にも言いません、あたりまえです。民主主義国家でありますから、こういうシステムで我々がどんな教科書を作ろうと、彼らは一言も言わないだろうと思います。もっともっと極端な、ほんとうの超右翼の教科書が出てきても、彼らは民主的ルールで作ったものなら、何も言わないだろうと思います。


今、米中関係は基本的に悪くなっていますからね。例の偵察機問題で、アメリカの論調には、「やはり価値観の違う連中とはまったくまじわれないな」という反省がでております。事実を確認しようとしない、あの衝突事件の。それから、国際法を守ろうとしない。「アメリカの価値観と違うんだ」ということがはっきりと出てきたわけです。そこでブッシュが今言っているのは、「アジアで最も仲良くすべきは日本だ。価値観が同じである。五十年間日米安保条約を続けてきた、仲間である。」こういうことで、日本重視になってきた。

私はここで、日本がしっかりして、「アメリカが心配しているようなことはぜんぜんない」我々の教科書でも、憲法でも、防衛でも、「これがしっかりした我々の立場ですよ」ということを、言えばいいのではないかと考えているわけです。むこうがせっかく強い日本になってくれと、片方の手を出してきているのですから、こちらからもそれに応じて、「ポンッ」といい音を出していけばよい。このさいアメリカを利用して、自主的な方向にグッと立ち上がるべきではないか、というふうに思うんです。


この数年間、あまりにも悲観論ばっかりですけれども、先程申し上げましたように、私は楽観しております。というのは、日本人はね、この遺伝子は同じですよ。危機感があれば必ず立ち上がる。今は危機感がないんです。一番危機感があったときはいつか。1853年ペリーが来ましたね、その後、ロシアの大艦隊、プチャーチンが率いる大艦隊が長崎に来た。清国は依然としてアジアの大国で日本の脅威だった。イギリスとフランスが来た。イギリスは薩長についた、フランスは幕府について日本を二分しようとした。あの時の緊張感、国が潰れるかどうかでしょ。不平等条約は次々に結んでしまったけれども、そこから立ち上がった日本人というのは、あんな危機を克服したんですね。今の危機なんてのはそれから比べれば大丈夫ですよ。どうぞ皆さん、これから頑張りたいと思いますのでよろしくおねがいします。私の補足はこれだけにしておきますが、私の楽観論というのはこういうところに発しているということを、ご承知おき願いたかった、こういうことでございます。(大拍手)ありがとうございました。


田久保氏の発言を継いで、高森氏がさらに楽観的な現状分析をされています。




高森氏の発言



ありがとうございました。ウィークジャパンを望んでいたアメリカが今変わりつつある、アメリカ自身がストロングジャパンを求めつつある傾向があるという、非常に心強いご指摘を頂いたと思います。


私も、田久保先生を受けましてですね、ひとつ楽観論をさらに展開してみたいと思います。このたびの「つくる会」教科書の検定合格、これは一教科書問題にとどまらない、大きな日本再生への第一歩だと思います。

ここで明らかになったことは、中韓外圧の限界がはっきり露呈した、中韓の外圧によって何でもできるという状況がはっきりここで終わろうとしている、ということだと思います。 中韓を見ていますと、それぞれ内容が違います。

中国の場合はもっぱら政府主導。政府がもっぱら外交のカードとして、歴史認識の問題を出し、多額の金銭をそれで得る、こういう構図なんですが、中国はしかし政府の外交カードとして、あまり圧力ばかりかけていても効き目がないな、と思うともうとやめてしまうわけです。

で、韓国はどうかというと、政府の側はむしろ日韓仲良くしたい、波風を立てたくない。こういう姿勢ですけれども、マスコミ主導で問題を大きくしようとしている。金鍾泌なんていう大物が出てきても、日本に来ると、「いや、内政干渉をするつもりはないんだ」ということをしきりに言っています。総理大臣以下の要人を歴訪してもそういうことを言っている。あくまで国内のマスコミむけのポーズなんですね。

しかも、韓国では、「つくる会」を糾弾しようとしてマスコミが一生懸命火をつけてまわっているんですけれども、国内の反応がもう一つぱっとしない。実際向こうに行った人たちの話を聞くと、国民はさっぱり燃えていない、メディアで一生懸命火をつけようとしているんだけれどもぜんぜんぱっとしない、ということです。で、何をやっているかというと、「日本国内は燃えているぞ」と、こういう報道ばかりやっている。(笑い)これに対して日本は、「韓国は燃えているぞ」という報道ばかりやっている。こういうことのようであります。


李登輝氏の来日に際して、全マスコミが歓迎の意を示した。これを見て、中国は、「これはまずいぞ」ということになった。中国の外圧は、これに呼応する日本国内のマスコミや国民の声がなければ効果がないのですが、それがないために動きづらくなってきているわけです。

韓国はマスコミが勝手に火をつけているので、こちらの方がこじれる可能性があるんですが、これに対しては毅然として対応し、気長に信頼関係を培っていくしかないでしょう。

国内のマスコミの姿勢も変化してきてます。これは、李登輝氏の来日報道によく現れているんですが、「つくる会」のことに関しても、あの朝日新聞でさえ、検定合格の日に西尾会長の論説を掲げるということをしなければ格好がつかなくなってきているわけです。「つくる会」を袋だたきにして終わるような状況ではなくなってきているんですね。

このようにマスコミの姿勢が大きく変わってきたように思います。


象徴的なのが社民党です。家永裁判を通じて23年間、検定は憲法違反だと争ってきたにもかかわらず、つくる会の教科書に対しては、検定を強化してでも排除すべきだという論理を掲げ、マスコミから愛想をつかされています。

検定合格、李登輝来日、そして靖國参拝が実現すれば、日本は少しはまともな国になるのではないか、こう考えています。

問題の核心は、歴史認識なんですね。日本は悪いことをしたんだ、だからまともな軍隊を持っちゃいけない。中国や韓国に好き放題いわれてもただ頭を下げなくちゃいけない。こういった歴史認識を是正していく一歩が教科書じゃないかなと、そう私は考えております。


このように高森氏は、問題の核心が歴史認識であり、「つくる会」の教科書はそれを改める第一歩となるであろうという展望を語り、西尾氏に話をふられました。




シンポジスト

西尾氏の発言



まだしゃべってらせていただけるんですか(大爆笑)(拍手)

田久保先生から、アメリカは日本を恐がっていた。しかし今アメリカは少しづつそういう政策の誤りに気がついてきて、五十年間仲良くやってきて日本に対して安心してきた、日本に対する認識を変えてきたというお話しをされましたが、その通りだと思います。このチャンスをつかめ、これもその通りですね。

ところが中韓は、必死に、少しでも日本が強くなることを、日本がちょっとでも軍事の問題についてですね、感覚的にでもそこに問題を拡大すること、これはつまり日本が主権を回復することなんですが、それをものすごく恐れています。だから、それを必死に潰しにかかってきます、国益の根幹ですから。

先程お話しになったように、靖國神社の問題はずーーーと何でもなかったんです。けれどもこの86年から95年の藤尾・衛藤さんの事件までのあの十年間、何が起こったかということをよく考えて見なければなりません。そうすると、86年に中曽根さんが靖國神社に参拝しなかったということ、中国の攻撃にびびってそれをしなかったということ、それに抗議して藤尾文部大臣ががんがんやって更迭された、86年のあの事件は象徴的なんですね。つまり中曽根さんからおかしくなったんです。それからずーーーっとくるわけです。中曽根・後藤田というのが、非常にまずい状況を作ったわけです。これがずーーーと今日まで作用しているんです。しかし95年の衛藤事件であと止まってますからね。だから今、逆に巻き返しが起こっているという構造になってきていると思います。


今、お話を聞いていて、たいへん楽天的なお話しがでているんですけれども、私個人は、必死に潰しにかかってきている中韓に対して恐怖を抱いています。大丈夫だろうかこの政権は、何か起こるんじゃないだろうかこの三年で、中韓の圧力で。それを非常に恐れています。その程度の政治家たちだろうと思っているからですが。


もう一つ大事なことは、先ほど高森さんが言ったことに対して異論を唱えさせていただきたいんです。それはですねぇ、検定は立派にやったと、近隣諸国条項は使えなかったというお話しでございましたが、近隣諸国条項を文部省は表立って使わなかっただけで、ことごとく使いました。私たちの教科書で修正された部分はことごとく、中国と韓国に関連する近代史だったり現代史だけなんですから。ガッガッとやられたのは。近隣諸国条項とは言わないけれども、叙述が詳しすぎるとか、年齢に相応しくないとか、そういう言葉でどんどん削りました。やったことはそういうことですよ。それでですねぇ、私は憤懣やるかたないんですよ。外務省に対してもそうですが、文部省に対しても許しがたい思いがしています。これいつか全部明らかにしますが。(大爆笑:拍手)

以前、新編日本史という教科書が検定で修正されたました。調べてみないとはっきりしたことをまだ言えないんですが、おそらくその内容を踏まえて、そこまで我々の教科書を修正しておけば、あとで中国韓国に何を言われても、「もう修正しません」「もう修正しません」と言えると。今「もう修正しません」と言っていますよね。そう言っているのは、我々の手足をもう十分に切っているからなんです。前の記録にあわせて事前に徹底的にやったんです。もしこの後、外国の圧力で、再修正させられたら、検定制度そのものが崩壊するということを文部省は恐れたんでしょう。それをさせないために文部省は、自己防衛の精神から、とことんまで我々の文章を削ったんです。その部分に関してですよ、その部分、ポイントポイントですよ。今言った、中国と韓国との関りの部分ですよ。

にもかかわらずたくさん書いてますから、残ってるということなんです。(大爆笑・拍手)こういういきさつであってですね、やっぱりたくさん書いて提出しないと、いけませんね。(爆笑・拍手)だけどもポイントは、彼らも外していないんですよ、ポイントは外していない。中国や韓国から言われたら、「そこは直っております」「五年前のあの件で言われましたあの部分は、仰せのとおり直っております」「前のときに言われたように直っております」そう言い開きができるように、我々を追い込んだんですね。それが実態だと思いますよ。それは私、いつか、全面的に公開しようと思ってます。でもまだ、今の段階では推測の段階、私の勘で申しあげているんです。


それから、高森さんが、他社の教科書が改善されたと言われていましたが、私はそう思ってません。(笑い)変わってないです。それどころか、かつて穏健といわれてきたある教科書会社さんが左旋回しています。急速に二社。どういうことでしょうね、わからない。他の七社の教科書からは、たしかに従軍慰安婦は消えました。だけれども、全体的に。これ、どこの会社が悪いとか言ってるんじゃないですからね私、「全体的に」と言ってるんですから誤解しないで下さいよ、A社B社と名前を言ったらたいへんだから言わないの(笑い)。従軍慰安婦は消えたとかそういう個別のことはあるかもしれないけど、全体として、左に傾いています。おかしいでしょ。わたしはそれを、ちょっと申し上げておきます。だから、改善されたどころか、改悪されていると思いますねぇ。それを、採択委員の人たちが、今の常識にしたがってちゃんと読むことができるかどうか、そこがポイントだと思います。

長くなってすいません(大拍手)




高森氏によるまとめ



ありがとうございます。今のお話しで私の見方に対して異論を唱えていただいているわけですが、一つは、我々の作った教科書と同時に検定を通過した教科書、それらがどういった内容でどういう評価をすべきかということに関しましては、実は、第三者のチームが今研究を重ねておりまして、やがて研究の成果を単行本として市販されるということでございます。小学館文庫の一冊として「教科書白書」という形で、扶桑社の教科書も含めた全教科書がどうなっているかということが、皆様の目に明らかになると思います。ちょっと遅れていまして、六月十日ぐらいの発売になります。「つくる会」の特徴が検定で削られてなくなってしまったんじゃないかという誤解が世の中にはありますが、そんなことはありませんのでね。その判定は皆さんに見ていただいてから、ということでお願いしたいと思います。

近隣諸国条項についても、私が言っていることとそう対立はないと思ってますんで、これについてはコメントを控えさせていただきたいと思っております。


この後、各シンポジストからのまとめの発言があり、盛会のうちにシンポジウムは終了しました。日中韓の現代史をマスコミの情報以外では知らなかった私には、とても勉強になりました。とともに、「新しい歴史教科書をつくる会」の運動が、明るい雰囲気の中で行われているということに意外な印象をうけるとともに、好感を覚えました。

このシンポジウムの報告は、「新しい教科書をつくる会」がどんなことを言っているのか興味がある人にとって参考になるでしょう。また、「新しい教科書をつくる会」に対して、内容を理解した上で批判していこうとする方々にも、その戦略を提供できるものであろうと思います。「敵を知り己を知らば百戦危うからず」と申しますからね。そのような方々の参考にもなるように、「つくる会」のシンポジストの発言をゆるがせにせず記録したつもりです。

ここまで読み進んでこられた方、ご苦労様でした。そして、ありがとうございました。

つくる会目次

知一庵