主訴である手足の冷えは、末端を中心として20歳頃から感じている。
28歳の時に、外の現場が多い仕事となり、より冷えるようになり、そのうえ、片道15分程度の自転車通勤をやめることで太もものところまで冷えを感じるようになっている。またクーラーにあたると全身が冷えてしまう。これは、もともとかなりの冷えがあることと、気血の巡りが少しでも悪くなると、冷えが広い範囲まで広がってしまうということを示しており、陽気不足はかなり深いと考えられる。
しかしながら、切診してこの方のお身体を触っていると、そこまで冷えが強いようには思えず、腹部や背部なども暖かい。また自転車をこぐと言うことは、肝鬱をある程度晴らしている可能性も考えられ、この冷えは肝鬱が取れると少しましになるということで、肝鬱の関与もおおきいのであろう。体表観察からも、左外関、左陽池、左照海、左湧泉の冷えなど腎の陽気不足が窺える。
しかしながら、妊娠の経験があることや、流産の後も体調や生理には変化もなく、睡眠やお小水にそれほど問題は出ていない。これだけの冷えが腎の陽気不足だけでおこっているのならば、もっと腎気の問題が排出するはずであり、この冷えの背景に、やはり肝鬱が強く影響をしていると思われる。きつい肝の相火、肝兪~胆兪までの両方の筋張り、左神門のやや腫れなどから肝気の張りの強さが窺える。
同時に筋張りの下端としての脾兪や胃兪の陥凹から脾胃の弱りも窺える。
28歳頃に職場が冷え腎の陽気不足があったころに婦人科のトラブルを起こし、
腎気を落とし卵巣のう腫発覚、
30歳で自転車通勤をやめてより腎の陽気不足が強くなり、
歯に膿がたまり排出でよくなるという瘀血の状況となる。
31歳で流産をすることで腎気を落とし、瘀血の状態が悪化し卵巣のう腫が大きくなり手術
というように、腎気を落としたり、腎の陽気が不足すると、すぐに瘀血の状態まで進んでしまい、状態が固定的になってしまっていると考えられる。
37歳の秋にはご本人の記憶はさだかではないが、血便がでるようになっている。 これも、出血を伴う症状であり、瘀血の状況として考えられる。
舌裏の怒張、細絡、皮膚の粗さも、瘀血になりやすい状態が全身的な状況としてあらわれていることを示している。
普段は、二便、睡眠、食事などに大きな問題がなく、器として小さいながらもそれなりにまとまってバランスが取れた状態にある。
しかしながら、身体に腎気の損傷をもたらす大きな負担が合った場合には、強い肝鬱と脾胃の弱りのある素体は内湿を孕みやすく、もともとの瘀血の状況と絡み合い、固定的な瘀血の状態となりやすい状況となっている。
弁証:肝鬱瘀血 腎陽虚
論治:疏肝理気 活血化瘀 温補腎陽
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