治療指針:生活提言


激しい頭痛の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



子供は器が小さく敏感で脆いため、外界の変化に弱く不安定であり不調を起こ しやすい。成長して器が充実し外界の変化を受け止めることができるようになると、この不 調は落ち着いてくることが多いはずだが、小学生時代の多くの不調をそのまま大 人になるまで継続していることから、もともと器が小さい素体なのではないかと 推測される。

また、転校がきっかけで肩こりや偏頭痛が起きていること、20代半ばには努力 してルーズに子供は器が小さく敏感で脆いため、外界の変化に弱く不安定であり 不調を起こしやすい。すると偏頭痛がおさまったことなどから肝鬱傾向にあるの ではないかということも推測される。

子供のころは家庭がぎくしゃくしていたということから、強い肝鬱により腎気を 損傷してしまい、耳鳴、飛蚊症、歯槽膿漏など、加齢によって起こることが多い とされる症状が出てしまった可能性がある。腎気不足により肝風内動を起こし、 ふらふらや立ちくらみが起きやすかったと思われる。

また、肝鬱が火に化し中耳炎、歯槽膿漏(小学生で切開)、盲腸、後に副鼻腔炎 など炎症を起こすことが多かったのではないだろうか。

小さい器で腎虚傾向でもあるが、それなりに腎気が盛となり天癸が至り、10歳 で初経を迎えた。しかし、月経周期が短く、期間が長く、量が異常に多いなど腎 の問題をかかえた月経である。月経前と初期に腎気不足により、肝気が上衝しや すく肝鬱になり、イライラや下腹部の鈍痛が起きやすい。月経中は腎気不足によ り陽気がめぐらず風邪を引きやすい。

腎の根の弱さは、強い肝鬱により暴れる肝気を支えることができなくなり、肝気 (魂)は身体を離れ浮遊する状態となってしまう。これが17歳~23歳の離人 症と思われる。

また、この方にとって合唱は、それまで大声で叫びたい感じでいたのが楽になる など、肝気を発散させ精神の中心を得やすい状態にしてくれるものだったのであ ろう。







21歳のとき、薄着や生のたけのこをたくさん食べて左坐骨神経痛となった。外 と中とダブルパンチで冷やした脾腎の陽虚によるものと思われる。病院で左お尻 に注射をしてもらい痛みは止まるが、その後左下肢がダラッとしてしまう。後に 右お尻の痛みや身体が冷えて眠れないという症状も出てきた。

玄米食や鍼や操体などによって脾腎陽虚が回復するにつれて右お尻は良くなった が、左側は現在でも足全体が冷えると痛い、ひざが痛い、弱く感じるのが残って いる。左中膂内兪の冷え、硬結、ここを中心に左仙骨の膨れがあるなど、お尻の 注射によって、経絡経筋をいためてしまったものが回復できずにいる可能性があ る。

30歳ころには夏になると低血圧が原因と思われる頭痛になった。夏の暑さと低 血圧を肝気を張って耐えることにより、肝気が空回りし気逆したものと思われる。

塩をなめて気をそらし、足踏みをすることによって気を引きおろしておさまった ものと思われる。また起きて勉強をすると吐き気がするが、寝て勉強すると大丈 夫というのも、肝鬱が強く肝気が空回りしていることによる気逆と思われる。

30代以降、肝鬱がきつくなり気が滅入るようになった。肝鬱が胃の陰虚をまね き胃熱が生じたため、それまでより食欲が出てきた。また、20代か30代くら いから不整脈が時々あったり、動悸を感じることから心熱の存在が考えられる。

肝鬱により心が突かれて熱を持った可能性が考えられる。 このころ、父親が亡くなっているが、ダメージが強く肝鬱がきつくなったのでは ないかと推測する。このころ風邪を引いて3,4年咳が止まらなかったが肝鬱に よる肝気犯肺が原因と思われる。鍼灸で咳がしばらくでなかったのは、肝鬱が少 し緩んだためと思われる。

専門学校やアルバイトではおもしろかったので肝気をはってがんばった。肝気を はってはいるのだが、おもしろいということで肝気の緩みも生じている。

しかし、 卒業してしまうと、おもしろいという肝気の緩みがなくなり、再び常に肝鬱のき つい状態となってしまう。肝鬱がきついので、経血の量が減ってくる。

また肝鬱 は肺に気滞を起こし、花粉症を発症するようになった。







40歳ごろ、たて続けにいやなことが重なった。これらのことから、さらにきつ い肝鬱が生じ、食欲は変化がないものの体重が減っていき42kgとなった。

このころ、胸の上部と咽喉もとが締め付けられ、中が裂けるような鋭い痛みが起 きた。食事中に起こることが多いということから、上焦に気滞を起こし、それが 食道付近に停滞し凝集して瘀血様の痛みを生じたということが推測される。

さらに体重が減って41kgがずっと続くようになる。生来の腎気不足であるが、 きつい肝鬱によりさらに腎気を損傷し、腎虚から気虚となっていったと思われる。

このころ主訴である頭を抱えて転げまわって泣くほどの激しい頭痛を引き起こし た。目も痛く、何度も嘔く、嘔けば楽になるということから、肝鬱により頭部に 気滞が起きていると思われる。

しかし、疲れたときや夜など本来なら肝気がゆるんでいるころにひどくなりやす い。これは、気虚であるため腎気が落ちたときに気の偏在が起こりやすくなり、 強い気滞が頭部に起こるためと思われる。この気滞が瘀血様の凝集を起こし、激 しい痛みとなったと考えられる。足元からプラズマ健康器を振ってもらったり、 仙骨や足をマッサージしてもらうなど腎気を補うと頭痛がうすらぐということか らも考えられる。

呉茱萸湯や桂枝人参湯は脾胃を温めることによって頭痛を治すものだが、はじめ のうちは多少楽だったというのは、気虚が少し補われたからであろう。しかし、 腎気は補われないので頭痛がひどくなると漢方薬は効かなくなった。







その後、歴史研究会を発足したり、心労、個人的な悩みなど肝鬱を引き起こすこ とが続く。しかし、閉経したことにより、月経のときの肝鬱がなくなり身体が楽 になったこと、再び合唱を始め以前より面白く、精神の中心を得やすくな ったこと、歴史研究会も軌道に乗ってきたりなど肝気が少し緩むようになった。

50歳になると、疲れやすくなった、忘れっぽくなった、気が滅入るのも多くな った。これは、肝気が緩んできたため、本来の気虚があらわれてきたものと思わ れる。

肝気が少し緩んだため、53歳には、胸の上部と咽喉もとの痛みは鈍痛となった り、54歳には激しい頭痛の回数が減って弱い頭痛が多くなったりしている。ま た、耳鳴も疲れたとき以外はあまりしなくなり、立ちくらみや眩暈もまれになっ ている。

しかし、不整脈や動悸がまだ時々あることや、舌苔が黄色いことや食欲がとても あることから心熱や胃熱はまだ存在していると思われる。

54歳6月には五十肩になった。これは、気虚により陽気がめぐりづらかったた めと思われる。

何年か前から夜中に深い咳をするようになった。肝気犯肺によって肺器が損傷さ れたためと思われる。昼間は出ずに夜に出るのは、やはり気虚であるため腎気が 落ちたときに気の偏在が起きやすいからと思われる。左経渠の発汗がきついこと、 右風門や右肺兪に発汗があることなどから、風邪が内陥している可能性も考えら れる。風邪の内陥があると肝鬱のレベルは一段上がるため、風邪の処置も考慮す べきと思われる。




弁証論治



弁証:腎虚を主とした気虚 肝鬱

論治:補腎 必要に応じて疏肝理気







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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