治療指針:生活提言


子宮内膜症の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



10歳までのアレルギーなどのトラブルが多い中、それなりの素体の成長を とげ、11歳で天癸がいたり月経がはじまった。しかしながら 吐き気、頭痛、めまい、悪夢、倦怠感などのトラブルが多く、必要以上に肝気を はる生活をしており、肝鬱気味の状態ですごしていると考えられる。

この肝鬱気味の状態で過ごすということは、素体である、肺、脾、腎に 負荷をかける可能性がある。この方の場合には、素体に対して無理を重ねるよう な負担となっていった可能性がある。







18歳での一人暮らしを契機に、体重が半年で5kg落ちたり、睡眠が浅くなる など、支える素体が少し小さくなってしまった。一人暮らしで精神的に肝気をよ り張っているために脾腎に負担をかけた可能性や、素体の支えが小さくなったこ と自体が肝鬱をより悪化させることになる可能性が考えられる。

小さいころよりの肝鬱気味の状態、 素体の支えが弱くなったこと、 精神的な肝気の張り。 これらが長い期間続いたことにより、20歳ごろには、肺気脾気に負担が出てき てしまい喘息気味になったり、口の粘り、生理痛、生理のときの嘔吐などの症状 が始まることになる。

上焦における肝気の鬱滞は、肺気を抑圧し喘息気味の状態を引き起こし、心熱を つき口の乾きなどになっていると考えられる。またこの長く続く強い鬱滞が下焦 における瘀血の引き金となっていった可能性がある。生理痛の症状の劇的な悪 化を考えると、この時点で、風邪の引き込みや、風邪が内陥していた可能性や、 冷えが入り込んでいる可能性も考えられる。冷えの入り込みに関しては、それま での冷えを気にしない生活やシャワーだけの生活で冷えが入り込んだ可能性は高 いと思われる。風邪などに関しては時系列的には不明であるが、症状が劇的であ ることから、可能性としては否定できない。長年にわたる強い肝鬱、負担になっ た肺脾、風邪や冷えの可能性により、下焦に強い気滞血瘀、あるいは寒凝気滞血 瘀が発生し、強い生理痛となっていったのではないか思われる。







 また若い生殖年齢にある女性の場合、子宮を中心とする月経のリズム が身体の中の大きなリズムとなります。月経のリズムは、排卵により、腎気の支 えの元、生理的な範囲で肝気の上衝がおこり、子宮に気血があつまり子宮内膜が 厚く養われます。その後、月経がきて子宮に集まっていた気血が下に通じ、上衝していた鬱気が解消される というリズムをもちます。

常時ある強い肝鬱は、このリズムに影響します、腎気の支えの元おこる生理的な 肝気の上衝は、強い肝気の鬱滞となり腎気に負担をかけ、月経で気血が下につう じる時にも強い鬱滞のため下に通じにくくなり、子宮の場でより強い鬱滞となり 過度な肝気の上逆を引き起こし、嘔吐、失神するほどの痛み、瘀血の発生とな ります。また瘀血はより強い痛みを生じさせるという悪循環になっている可能 性があります。

この悪循環は、毎月の月経が積み重なるにつれ強まり症状がより悪化していくこ とになります。また強い気鬱の存在は、子宮に注ぎ込む任衝脈に負担を かけ、その流れの元となる臓腑である脾腎の負担ともなってきます。脾腎の負担 が素体の養いを失わせ、再度きつい肝鬱を呼ぶ点でも悪循環の輪にもつながります。







結婚により、精神の中心をえて、強い肝気の上逆が多少納まったものの、挙児の 希望により不妊治療に入り、この治療がまた器に負担をかけ、腎気を落としたた め、より下焦の瘀血はつよくなっていったと思われます。

27歳のラバロの手術により物理的に瘀血を取り除いたことで、痛みが劇的に 減少しています。しかしながら、強い肝気の上逆のある素体の状態はかわらなかっ たため、腎気をはたき、下焦に鬱滞を強くする不妊治療がきっかけになり、ふたたび瘀血の生成がはじ まり、生理痛がぶりかえしています。







鍼灸治療、自宅施灸では、肺気養い、肝気の過度の上逆が納められたため、腎気 も安らぐことが出来るというよい循環をおこしました。肝気が落 ち着き、腎気が生殖のリズムで使い果たされることがなかったため、生理前のイライラ、体重の増減、疲れやすさ、 気分の落ち込みなどがへり、寝付きもよくなったと思われます。




弁証論治



弁証 気虚を中心とした肝鬱気滞血瘀

論治 補気平肝

補気(脾気、肺気、腎気)







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

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