治療指針:生活提言


不安が強い不妊の弁証論治
病因病理:弁証論治




病因病理



31歳の女性。

不妊と、ホルモンバランスが悪い(生理が早く来る)という訴えである。







赤ちゃんが欲しいという希望のための病院受診であるが、かえって精神的に強いストレスとなり、肝鬱から心熱の亢進となり夢をよくみ、口渇も出た。肝の鬱熱により生理の周期は短くなった。また強い肝鬱は脾胃を押さえつけ機能を低下させ体重が減少、生血の不足をまねき、生理の量も減少したと思われる。

便通や体表観察から内湿をうかがわせるような状態ではないが、季節の変わり目、梅雨などの体調悪化などがあり、朝も陽気の立ち上がりが悪く体調が悪い。また、左の少腹急結、舌裏の怒脹からも血の巡りが悪くオ血の状態へとの変化を思わせる。

肝鬱が、心気へすぐに波及し、生理の量、体重と身体の器質的な部分へもすぐに直接的に影響を及ぼすという状況は、肝気を支える脾気、腎気の弱さが伺える。強い肝鬱が先か、脾胃の弱りが先かは判然としないが、高温期に吐き気がしてしまうように強い肝鬱と影響を受けやすい脾気、腎気により、内湿やオ血が生じやすく、また内湿やオ血の存在が全身の気機を悪くするという悪循環を招いている。







精神的な不安定さは、肝鬱の強さと、それが心へと波及し心熱になること。そして心熱により肝陰不足となり、腎陰を中心とする腎気への負担となる。逆に言えば、肝陰腎陰を中心とする肝陽の根となる肝腎の弱さが全体の不安定さを招いているとも考えられる。

現時点で、左関上のややある弦脉、神門の硬結など肝鬱を示すものもあるが、それほど強い肝鬱をしめす体表観察上の問題点は感じられない。しかしながら、中脘は動きが悪く中注の冷え、関元の冷えと腹部全体の勢いのなさ、動きの悪さを感じる。温養が不足し脾気そのものが暢びやかさの不足を思わせる。また腎兪の陥凹、左三焦兪の陥凹、関元の冷えなど腎の陽気を中心とした腎気不足は強く示されている。また、肺兪、大椎、合谷の陥凹から風邪の内陥の可能性も高く、肝鬱を強くしている可能性がある。

脾気、腎気の弱さと、内湿などを中心とする内生の邪、風邪の内陥が気機のスムーズな升降出入を妨げ、強いストレスが加わると、熱が籠もりやすくなり心熱へと波及しやすい。また、精神的な問題さえなければ、それなりに器のバランスが取れている状態が、心理的なストレスが一旦発生すると、器へもすぐに、直接的に影響しやすいという状況は、器そのものの小ささと、不安定さが考えられる。




弁証論治



弁証:肝鬱 腎陰を中心とする腎虚

論治:疏肝理気 益気補腎







主訴:問診

時系列の問診

切診

五臓の弁別

病因病理:弁証論治

治療指針:生活提言











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